「読書が好き」、、、これは中学受験にとって有利でしょうか??

英語をはじめて学ぶ時も、まずは簡単な英語に「慣れていく」ことが効果的なのと同じように、日本語も、多くの言葉にたくさん触れていく子の方が、国語力は伸びていくはずです。

最近では国語だけでなく、他の科目でも文章題形式(しかも、読み解きにくい!)が増えているという大きなトレンドがありますから、読書好きな子というのは、中学受験で一歩も二歩もリードしている、と言って良いと思います。


では、本が嫌いな場合は、無理にでも読ませた方がいいのでしょうか??

これは結構悩むところですが、自分は「No」だと思っています。


僕自身、子どもの頃は本が嫌いで嫌いで仕方ありませんでした。
「本を開くと物語が始まるよ~!」なんて大人たちに言われても、あんまりワクワクしないのです。

今にして思うと、誰かが書いた小説というのは、(特に教訓めいたテーマが見え隠れしていると)ベタベタしているというか、何だか近くでお説教をされている気がして、苦手だったのだと思います。
だから、同じように感じているお子様がいても、全く不思議ではありません。

もちろん、これは名作だから、小学生向けだから、と子どもにおすすめできる本を読ませてみて、それが特に苦でないなら、言うことは無いですよね。

でも・・・、文章を読むことはそれなりにできても、文章を「書く」ことに抵抗を感じる子というのは、結構多いのではないでしょうか??



そこで、今回は「読書感想文」についてです。

私が子どもの頃、夏休みの宿題には必ずこの読書感想文が出されていて、「なぜ毎年毎年・・・」と、原稿用紙のマス目をにらんでおりました。

読書感想文は、基本的にどんな本を読んでもOK。

・・・とは言いながら、コンクールの主催側が推薦するような「課題図書」のリストというのもちゃんとあって、そこには子どもに推薦したい本、ぜひ読ませたい本、と言えるようなタイトルが並ぶわけです。

大人になってみれば、人がお薦めしてくれる本は読む価値があるとわかってくるのですが、あまのじゃくであり、難しい本を読みたくなかった自分は、そんなリストはほとんど見もしませんでした。
かといって、何か読まないと書くこともできず、夏休みもストレスフリーで楽しめないので、しぶしぶ本を選びに出掛けることになります。


そして、ある日本屋さんでビビッと来たのが、「イカ」でした。

手に取った本は、コブシメという種類のイカを特集した図鑑。


↓ これがコブシメ(コウイカ) (※これは図鑑でなく、フリー素材からの引用です)

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↓ 擬態ができます。

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ただし、図鑑といっても、写真動物記のようなもので、ちゃんとストーリーがあって、テレビの自然ドキュメンタリー番組がぎゅっと凝縮されたような感じです。
(あらためて調べてみると、全39ページ!一度復刻版が出たようですが、それでも古くて、在庫はナシ。)

カラーの写真があって、そして説明の文章が少しだけ。
このシンプルさが逆に想像力をかき立ててくれたのかもしれません。


なぜその本を選んだのか??理由は単純です。

まず第一に、字が少なかったから
そして、第二に、イカに自分の感情が揺さぶられるような予感がしたからです。


当時はまだ、給食を残すことに厳しい先生が結構いて、僕もよく残されていました。
いろいろと嫌いな食べ物はあった中でも、特にイカが苦手であり、、、でもよりによってイカは給食のメニューに高確率で登場する憎いやつでありました。(サラダにまで入っていたのです

食材としてのイカは、輪っかだったり、細長い柵だったりと、形を変えて自分を苦しめていたわけですが、元々の姿かたちも、どちらかといえば異形です。
それに、彼らが生きて泳いでいる姿などは決して身近では見られなくて、(生物としての)イカに対して、「こわいもの見たさ」のような感情があったのだと思います。



正直、今では本の内容はほとんど思い出せません。

南の海に住むコブシメは、身を守るため、身体を様々な色や模様に変えて、忍者のように擬態することができ、その姿が美しかったというのは印象にあります。

生き延びるための術があり、エサを取る狩りがあり、新しい命をつなぐための産卵があり、最後には死ぬ。
憎い食材でしかなかったイカに、こんな一面があるんだ、というか、こんな一生があるんだと、やはり感情は揺さぶられました。(あえて感動とはいいませんが)


多分、このイカの図鑑、他の子に見せても、「へー、おもしろいね」ぐらいで終わっていたでしょう。

本当に興味をそそられたり、感情が揺さぶられる、というのは、その子自身が体験した出来事や、あるいはその子自身が未来に思い描いている夢などと、どこかでつながっているからだと思うのです。

それがなければ、せっかく本を読んで感想文を書いてみても、
「○○はかわいそうだった。」「××がこうなって嬉しかった。」とドライな文章が連なるか、あるいは、書評家のようになってしまうか、どちらかでしょう。

本選びは結構大事です。

自分のこころの葛藤がどこから来るのか、ということに耳をすませることができれば、文章の力などに関係なく、400字×3枚なんて、すぐに埋まってしまいます。


ちなみに、あらためてコンクールの条件を見てみますと、「自由図書」の定義として、次のようにあります。

自由に選んだ図書。フィクション、ノンフィクションを問いません。
※教科書、副読本、読書会用テキスト類またはこれに準ずるもの、雑誌(別冊付録を含む)、
パンフレット類、日本語以外で書かれた図書および課題図書は対象としません。



「文章も書かれている図鑑」というのは、対象の図書としては、かなりグレーなんだと思います。
しかし、ダメだともはっきりと書かれていません。
自分のイカの作文が、どのレベルだったのか忘れましたが、何かの賞状をもらった(全然大した賞ではなかったですが)記憶があるので、当時は少なくともOKでした。

だからもし、

「とにかく本が嫌いで、読書感想文を書きたがらない」
「せっかく書いても、短い文章しか書けない」

というお悩みがあるのであれば、お子様が何に感情を揺さぶられるのか、という原点に一度立ち返って、本を選んでみると良いかもしれません。
サッカーが好きなら、プロの選手が書いた本だってありますし、占いが好きならタロットから占星術の本だってたくさんあるのです。「優等生な本」を読ませることが全てではありません。自分で選んだ本を熱中して読んで、一気に書き上げることで、自信もつくことでしょう。

「読書感想文なんて、受験とは関係ない!」ですませてしまうのは、ちょっともったいない気がします。

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